2020.11.27

短パンとスニーカー

あれだけ暑かった夏の日差しが恋しくも思う。
台風の影響もあり、10月初旬だというのに寒い朝をむかえる。
とは言ってもついこの間まで28度の気温で仲間と今月いっぱいまで短パンでいくか、と言っていたのに。
妥協して?イヤ、寒さに負けてジーパンをはいた日には向こうから短パン兄ちゃんとすれ違ったらすると負けた感、半端なく思ってしまう。

1年の半分を短パンで過ごす

私はほぼ一年の半分を短パンで過ごしていた。動きやすく、手っ取り早く、ぬけ感もあるけど、オシャレに気を使っているようにも見えるからだ。
短パンのくせに上は長袖をよく着る。Tシャツの上からカバーオールを着たり、パーカーを着たりすることもある。
エアコンのかかった部屋で過ごしているとこれくらいがちょうどいい。
最近重宝して、よくはいているのがノースフェイスのスウェット地の短パン。
コイツはここのところ最強で、ちょっと賢目でいく時は上に白の長袖シャツを着る。
足元はスニーカー、スタンスミスだ。
スタンスミスは高校時代から切らしたことがない。同様にスーパースター、コンバースオールスター。なかでもジャックパーセルは別格の位置にいた。

死ぬまでデニムが履いていられるジジイになる

当時、私は15歳。
兄は4つ上でいろんなことにアンテナが高かった。家にはポパイが創刊号から並び、MADE IN USAが、机の上に。
こっそりみてはアメリカンに憧れた。
生まれた和歌山から電車で1時間。向かう先は大阪、アメリカ村だ。
古着を山の中からお気に入りを見つけに行ったり、そのお店の店員さんのファッションやライフスタイルの話を聞いたり楽しい時間だった。
田舎ではコンバースのオールスターを履いていることがおしゃれとされたが、その上をいくとばかりにファッション誌を読みあさり、現物を求めてアメカジショップへ。
手にしたのはケッズだった。コンバースと同じバスケットシューズだが、側面の先の方にラインがつく。
周りからは同じ感じなのに、ラインがある、とかのことばになんとなく誇らしげに思ったのもついこの間のようだ。
何にしても人と同じものでは満足が出来ず、まだ知名度の低いものや、数の少ないものなど、だから古着なんかはもってこいのもので、多分同じものはこの世に存在しない、いわば、ステイタス感さえも味わえた。

そんな感覚は今もなお健在で、みんなと同じでなく、自分なりの価値観を持ち、行動し、貫くことが、自分の生き方だと思っている。

思えば15歳の時からオヤジ像を描いていた。
死ぬまでデニムが履いていられるジジイになると。
今のところ、これは貫けている。
それも単にデニムではなく、ストーリーのあるものを身に付けたいと思っている。
憧れのアメリカンカジュアルであり、歴史が繋ぐストーリーであり、またはその素材でもある。

究極の理想の姿

今から25年くらい前のこと、
あるハタ屋さんに、伺ったときのこと。
おくから出てきたお兄さんはなんの格好もつけることもなく、布について丁寧に私達にはなしをしてくれていた。
なんとも格好いいお兄さんで意識することなく古びたデニム、リーバイス505、66モデルっぽいジーンズによれた霜降りのスウェット、足元はコンバースのジャックパーセル。

若い時から憧れていたあのスタイルだが、決してファッションが先には立っていない。
何気に、普通に、なんてことないのに、格好いい。そんな空気感が私の感性のアンテナに反応したのだと思う。

なんてことないのに、格好いい

多分一番むずかしい、究極の理想の姿だと思う。自分もそんなオトナになれるようまだまだ精進していきたい。

スタッフ

植松和典

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