2021.11.25

住宅ローンを組む前に、知っておきたい「連帯保証」「連帯債務」「ペアローン」のこと

住宅を購入するとき、多くの方が住宅ローンを検討しています。従来は所得が高い夫名義で住宅ローンを組み、支払いをするのが一般的でした。近頃は共働き世帯の増加により、共同名義で住宅ローンを契約するペアローンや、夫婦の収入を合算して借入限度額を算出することも少なくありません。一体どんなケースがあるのでしょうか?
今回は借入限度額の算出方法や、住宅ローンを組むにあたってよく耳にする「連帯保証」「連帯債務」「ペアローン」についてご紹介します。

住宅ローンの借入限度額はどうやって算出される?

借入限度額の算出方法は?

住宅ローンを契約する際、各金融機関により、算出方法に差はありますが大まかにいうと、借りる人の年収と返済負担率で借入額が決まります。

返済負担率(または返済比率という)とは、年収に占める住宅ローンの年間返済額の割合のことです。各金融機関や条件によって異なりますが、一般的に20~40%、フラット35の場合は30~35%と言われています。

これはすべての借入の合算限度額となるため、車をローン契約で購入するなど他の借り入れがある場合、住宅ローン契約時、その分を差し引く必要があります。

これらのことから、借入限度額は以下のような式に表すことができます。

住宅ローンの年間返済可能額=税込年収 × 返済負担率(%) - 他のローンの年間返済額

例)年収500万円、他のローン契約なしの場合 

返済負担率     35%で算出

年間返済限度額   500万×35%=175万円

毎月の返済限度額  175万÷12=約14万5千円

 

ここで重要なのが、返済可能額=借入可能額という訳ではないということです。

では、借入可能額はどのように決まるのでしょうか。

 

借入限度額は上記の返済可能額をもとに審査金利を使い、以下の計算式で表すことができます。審査金利はとは、各金融機関が設定している金利のことです。借入限度額の計算の際に使われます。

借入限度額=住宅ローンの年間返済限度額(円)÷12ヵ月÷審査金利での100万円あたりの月返済額(円)×100万円

例)年収500万円、他ローン契約なし、35年ローン契約の場合

審査金利 4%で算出

年間返済限度額 175万円

100万円あたりの月返済額 4,427円

借入限度額 175万円÷12ヵ月÷4,427円×100万円=約3,294万円

 

と想定されます。

夫婦の年収を合わせて住宅ローンを契約する場合の計算方法は?

夫婦の年収を合算して住宅ローンを契約する場合は、先ほどご紹介した借入限度額の計算にあてはめて算出します。

 

例)夫年収500万円、妻300万円、他ローン契約なし、35年ローン契約の場合

返済負担率 35%で算出

審査金利4%で算出

100万円当たりの月返済額 4,427円

年間返済限度額 800万円×35%=280万円

借入限度額  280万円÷12ヵ月÷4,427円×100万円=約5,279万円

 

夫婦合算で住宅ローンを契約する場合は、より大きな金額を借り入れることができるため、より自分たちの理想の家に近づけることができます。夫婦の年収をひとつにまとめローン契約をする場合、連帯という形になりますが、一体どのようなものなのでしょうか。

 

収入を合算する場合、「連帯債務」と「連帯保証」の2つのタイプがある

夫婦どちらも支払い義務を負う「連帯債務」

住宅ローンの契約自体はひとつですが、連帯債務の場合はその名の通り、夫婦二人ともが債務者となります。どちらかが主債務者となりローンを借り入れ、もう一方が連帯債務者とおいう形をとるとこになります。条件を満たせば夫婦それぞれが住宅ローン控除の対象となり、減税のメリットがあります。

また、住宅ローン契約の際に必要な団体信用生命保険は、金融機関によりますが二人とも加入することが可能です。そのため、どちらかに万一のことがあった場合、住宅ローンの返済が保険金で返済されることになります。

ただし、夫婦で団体生命保険に加入できる金融機関が限られているため、事前によく確認することが大切です。

夫婦どちらかが支払い義務を負う「連帯保証」

連帯債務と同様に、住宅ローンの契約はひとつです。どちらかがローンを契約し債務者となり、もう一方が連帯保証人となるのが連帯保証の特徴です。

債務者がローンを契約できなくなってしまった場合、債務者の代わりに返済義務を負うことになります。債務者1名でローンを契約するよりも借入額が増えるため、利用するケースもありますが、連帯保証人は直接支払いをする訳ではないので、住宅ローン控除の利用や団体信用生命保険に加入することができません。

生活が変わっても返済を継続できるかなど、よく考えることが大切です。

近頃よく耳にする「ペアローン」は一体どんなものなのか?

ペアローンとは

共働き世帯の増加により、近頃「ペアローン」を検討している夫婦が増加していますが、一体どんなものでしょうか。

ペアローンとは、夫婦など同居している親族と一緒にそれぞれが借主として住宅ローンを契約することです。ローンの契約パターンは様々あり、例えば、夫がフラット35(固定金利)で借入し、妻が別の金融機関で変動金利で借入するなどがよくあるパターンです。ここで気を付けたいのが、夫婦そろってフラット35を契約することができないこと。契約の際は注意が必要です。

夫婦で借りる場合それぞれが借主となるため、住宅ローン控除の対象になります。住宅ローン控除は、夫婦の合計所得が3,000万円以下であること、返済期間が10年以上あること、対象外の借り入れ方法があることなど、条件があるためよく確認が必要です。

また、団体信用生命保険に夫婦それぞれが加入することが必要になります。契約事務手数料もそれぞれで発生するので、注意が必要です。

ペアローンの場合、家の所有権はどうなる?

ペアローンの場合、住宅は共同名義になり、それぞれの出資割合で持分が決まります。

例えば、4,300万円の住宅(土地含む)を購入するにあたり、夫が3,000万円、妻が1,300万円の住宅ローンをそれぞれ契約し住宅を購入してた場合、

その所有権は夫が70%、妻が30%の所有権を持つことになります。住宅を登記する際は、この所有権の持ち分を使用し登記することになります。名義については、1人の場合と共同名義の場合でどのように違うのか、こちらの記事でご紹介していますので合わせてご覧ください。

愛知県・岐阜県で家を建てたら登記を忘れずに。住宅の名義は一人がいい?共同名義がいい?

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ライフプランと合わせて、無理のない返済計画を立てることが大切

ライフステージの変化で住宅ローンの返済ができなくなるリスクを考える

ローンの返済は、返済期日まで何があっても継続します。例えば、出産、子育て、介護などの理由で妻が退職した場合でも、ローンの支払いは続くのです。また、妻が退職した場合、所得税を支払うことがなくなります。節税を期待していた住宅ローン控除は、所得税を支払っている夫のみ継続して受けることができますが、妻は控除の対象から外れることになります。

夫が退職した場合も同じこと。夫の収入が転職などで下がり支払いが厳しくなった場合でも妻が連帯保証人担っているため、支払いは続くことになります。このような変化はよくあることですが、生活が変わった場合でも返済し続けられるのか?をローン契約を契約する前にしっかりと考えることが重要です。

また、仮に夫婦が離婚した場合であっても、離婚と支払いは関係がないため、支払いは続くことになります。どちらか一方が家を出ることになった場合でも、ローンの支払いは続き、返済を続けながら新しく済む家の支払いも発生することになります。経済的にも大きな負荷がかかることがあるため、注意が必要です。

ひとりでは契約できない額を借りているある前提を忘れずに

夫婦連帯での住宅ローン契約やペアローン契約の場合、夫婦どちらも安定して収入があり、継続して収入を維持できることが前提です。

先にもご紹介したように夫婦の年収を合算し、連帯でのローン契約やペアローンは夫婦どちらもが安定して収入があり、かつ収入を継続的に維持できることが前提です。さらに出産、子育て、介護などライフプランやライフステージの変化で働き方が変わることを想定して返済計画を立てるようにしましょう。

ファクトリーツール編集部

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