2021.01.30
これからの暮らしに合った住宅スタイル第四章
やはり日本人としては外せない、日本建築。
改めて見直すことで見えてくる、これからの暮らしに合った空間創りのヒントを紹介していきたいと思います。
2021.01.30
やはり日本人としては外せない、日本建築。
改めて見直すことで見えてくる、これからの暮らしに合った空間創りのヒントを紹介していきたいと思います。
第四回目となった『これからの暮らしに合った住宅スタイル』ですが、住宅建築計画をスタートされる皆様にとって少しでもお役に立てたでしょうか。
これまで、歴史の流れの中で生まれた、海外の建築様式を例に挙げて紹介してきましたが
日本でもその流れは、戦後の住宅建築に大きく影響してきました。
とはいえ、日本は日本の伝統様式もあり、現在は少なくなってきているとはいえどもその伝統は受け継がれてきています。
今回はやはり日本人、日本建築を例に挙げてこれからの暮らしのヒントを探っていきましょう。
日本独特のものとして挙げられるのは、畳や障子、欄間や床の間、個人的には囲炉裏にあこがれをもってます。
和瓦や茅葺屋根、まだまだたくさんあります。
茅葺葺きの屋根は、今また脚光を浴びつつあり、熱い思いを持った数少ない職人たちが全国のあちこちを飛び回り葺き替えを行っています。
柱や梁を基本構造とした木造軸組み構造も伝統の一つです。
モダニズムの時代には近代建築の理念を先取りした点があるとして注目もされました。
またその独特の文化によって作られたものとして、伝統的な街並みもあります。
今では観光地として保全に努めようとしていますが、以前は日本の風景として当たり前だったのですね。
しかし戦災や、経済発展の中でのスクラップアンドビルドによって日本の風土的個性の多くが失われていったのも事実です。
皆さんもジャパニーズモダンという言葉を聞いたことがあるかと思いますが、ジャパニーズモダンとは現代的な建築物やインテリアに日本の伝統的な素材や伝統技術を生かしたもので、どちらかというとインテリア的な使われ方が多いと思います。
杉やヒノキをふんだんに使った空間は、日本人として落ち着く空間であり、居心地もいいのではないでしょうか。
しかし今回は、ジャパニーズモダンがこれからの暮らし会った住宅スタイルというわけでなく、日本建築の間取りをヒントに考えたいと思います。
例えば、今や当たり前となっているLDKという間取り、昔はキッチンとダイニングが同じ空間にあり、居間は別の部屋になっていることが多かったのですが、食事とくつろぐ空間が一つで事足りるようになったため、間取りの主流がDKからLDへと変化してきました。
またリノベ案件でもダイニングと居間との間の壁を取り払ってLDKにするという依頼が多くありました。
しかしこれからの暮らし、お家時間が増える中で家族がどこでどう過ごすか。
家族それぞれ違う目的で、違うことをやりながら過ごす時間が増えていきます。
第一章での話とは逆になるのですが、それぞれが違うことをやる空間がありながら、DKでは家族が顔を合わせる、
または家族みんなで食事の用意をして一緒に食事をとる、そんな時間を作るのもまたこれからの暮らし方の一つになるのではないでしょうか。
第一章はこちら
他にもすでに多くの皆さんが取り入れている土間スペース。
シューズクローク的な使い方がまだ多いかもしれませんが、玄関とリビングをつなぐ廊下をなくし土間スペースとしたり、リビングそのものを土間にする使い方も素敵ですよね。
使い方は違えども、これは炊事場や農作業スペースとしてあった土間と同じですよね。
また和室とセットで作られていた縁側も今はアウトドアスペース的に屋外に設置することもあります。
このように同じ空間でも、これからの暮らしに合った使い方をすることで活かされるところがたくさんあります。
今一度、日本建築の良さを見直したいと思います。
日本も時代の流れによって大きく変化していった住宅業界ですが、作っては壊すの繰り返しではなく、愛着をもって長く住み続けることが出来る、
またそれらが街並みをも形成できるような住宅が増えていくことを願い、その一端を担える仕事をしていきたいと思います。