2023.02.01
グレージュ 2
近頃よく耳にするグレージュという言葉。
以前、コラムで少しこの色に関して触れたのだが、今回、もう少し深堀をしてみようと思う。
2023.02.01
近頃よく耳にするグレージュという言葉。
以前、コラムで少しこの色に関して触れたのだが、今回、もう少し深堀をしてみようと思う。
今回のテーマ「グレージュ」だが、この色を上手に活用しているスタイルが、建築業界でよく耳にする「ホテルライクな暮らし」なのではないかと感じている。そこで、この「ホテルライクな暮らし」という表現を少し分析してみた。
印象としては、落ち着きのあるスッキリした空間に生活感なく上手くインテリアコーディネートされた、品のいいミニマムな空間といったイメージを持つ。
当然、部屋のコンセプトにより内容は異なるが、「ホテルライク」という言葉からのニュアンスは、だいたいそんなところなのではないかと思う。
そしてそこで採用されている「背景色」とも言える壁や天井など「空間のベースに置かれている色」を見てみると、改めてそれが「グレージュカラー」なのだと気づくのである。
背景色グレージュに素材感のある家具やディスプレイ品。
背景色グレージュに素材感やテクスチャーのあるアクセントウォール。
素材感においては、手仕事感のあるものはさらに相性がいいように思う。
グレージュには、その空間に設置されるものの価値を高める、いや高め合えるコーディネート力が潜んでいるのだ。
では改めてグレージュとはどういう色なのだろうか。
まず「グレイッシュ」。
有彩色にグレーをプラスした色の総称として使われ、ブルーグレイやピンクグレイなどもその一種。
目が疲れにくく落ち着いた印象になるため、インテリアだけではなくファッション分野においても、トレンドカラーとなっている。
そして「グレージュ」。
グレイッシュカラーから派生してできた色が、グレージュ。
ベージュとグレーを混ぜ合わせた色で、クールな印象と温かみのある印象の両方を兼ね備えるため、“大人おしゃれ”なデザインを好む人から、人気が高まっている。
ベージュとグレーの比率によって、クールグレージュとウォームグレージュに分かれるため、お好みに合わせてカラーを選べる点も特徴だ。
次にグレージュコーディネートを選ぶメリットを見てみよう
● どの色や素材とも合わせやすい。
● おしゃれで上品な印象になる。
● 汚れやホコリが目立ちにくい。
● 濃度や色調を少し変えるだけで印象が変わるため、バリエーションが豊富。
● 空間に視覚的な奥行き感を与えられる。
グレージュの明度や色調に変化をつけることで、多種多様なグラデーションが表現でき、狭い部屋でも遠近感を強調でき、奥行き感が生まれる。それによって、部屋が広く感じたり、圧迫感を軽減する効果が期待できるのだ。
また、グレージュは、「温もりのあるグレー」と言い換えることができ、上質な空間を演出するのに適した色である。
落ち着きのあるグレージュを背景にアクセントとして「自分らしさ」を加え、自分達だけの空間を自ら完成させる。
グレージュコーディネートは、モノが溢れ選択肢の多い今の時代に合ったインテリアコーディネートのように思われる。
ひとつひとつの建築建材に対するこだわりで費用をどんどん積み上げるのではなく、シンプル且つミニマムな状態からグレージュのような「色」とここぞという「素材感」を上手に活用して、自分達らしくその空間を完成、または成長させていくことも、これからの建築に対して求められているように感じている。