2020.10.02
ROOTS:きっかけ。
この世界に入って30年以上。木だけでなく、鉄など金属、ガラス、レザー、エージングサンプル、アンティーク金物など素材を見ているだけで楽しくなってきます。
2020.10.02
この世界に入って30年以上。木だけでなく、鉄など金属、ガラス、レザー、エージングサンプル、アンティーク金物など素材を見ているだけで楽しくなってきます。
この度、今まで取り扱ってきた素材や仕上げのサンプルルームが完成。
木だけでなく、鉄など金属、ガラス、レザー、エージングサンプル、アンティーク金物など素材を見ているだけで楽しくなってきます。
そもそものきっかけは私の独身時代のアルバイト先。
アンティーク家具を取り扱っているビンテージハウスから始まる。
日中はお店で家具のメンテナンスや現場作業。
閉店後からお店の家具入れ替え、レイアウト。中には深夜のデバン。
寝る事を時間に加えていないのだろうか、とも思ったことがある。
あとで知ることになったが、実はオーナーは自分と同い年。
どこから見ても当時40歳以上にしか見えてなかった。
彼の将来を見据えた今の姿がのちのち自分も起業することで見えてくるものが多数あった。
ある時は慰安旅行にスーツを持っていくと言われた。
伊勢の旅行になぜスーツ?
答えはその日の夜にわかった。天皇陛下も食事されたレストランに行くことになっていた。
30歳にもならない田舎者の自分達がこのような所でゴハンを食べる経験などしたのとは当然ない。
ここで学ぶ意識になるのか、その場をかわしてしまうのか。。
将来の自分達のマーケットはそれなりに高い所に置かれていること、
というよりこのことを気づかされるきっかけをもらったように後で思う事になった。
ドイツ、イギリス、フランス、ベルギー。
この研修旅行が多分、自分の人生を導くきっかけになったと思う。
ドイツはある案件で年中クリスマス、をコンセプトに披露宴会場の演出依頼があり、本場ドイツを視察に行く事になった。
物づくりに対してそれなりにエネルギーを持っていたけどドイツまで見に行くとまでは自分では想定できなかったと思う。
でもこれも私たちに世界を見るきっかけを作ってくれたのだと思った。
このタイミングで合わせたかのようにイギリスではインタービルトショー。世界に向けた建材展だった。
自分のイメージを超える建材があちこちにあった。ここでアンティーク建材が当時、普通に流通しているイギリスだから見れたものがたくさんあった。
アメリカではないヨーロッパならではの歴史とそれを重んじる今を生きる人達の意識が日本の効率、生産性だけで作られている物とおおきな違いを見たように思った。
歴史を尊重し、継承しながらも今の感性も上手く掛け合わせた意識が私の見た建材展の商材がそういっているように思えた。
フランスでは古い歴史あるホテルに。我々からすると作られたアンティークテイストのものが、ここでは日常の空間。
きれいに磨き上げられた木材はウレタン塗装では決して見ることができないしっとりとした輝きを醸し出していた。
ベルギーにはTGVで移動。
今も鮮明に残っているアールヌーボー、オルタハウス。
全てにおいて丁寧に、職人の技術が光る。
滑らかな繊細なラインが硬いチーク材や鉄から作られている。機械加工では真似のできない職人技術を生かし、彩られたアールヌーボー期ならではの芸術品だった。
他にもレースの街プルージュや石で作られたお城、ゲントにも訪れた。
どこにきても歴史が今もなお色濃く残り、国だけでなく国民までも歴史と共存している姿が印象的だった。
この研修旅行でオヤジから受け取った餞別。
袋には、見聞高めよ、と書いてあった。
この研修旅行に出掛けた事で大げさでなく10年、いや今も食べさせてもらっているように思う。