2022.07.30
愛知県・岐阜県で家を建てるなら知っておきたい「隣地境界線から50センチ」の規定とは?
日本の3大都市圏の中でも持ち家志向の高い名古屋圏。都心部では特に家と家の間が狭い場合があります。そこで大切なのが住宅の境界線を知って、外壁を「隣地境界線から50センチ」後退して住宅を建てるという規定です。せっかくの新築住宅を建てるからこそ、隣人とのトラブルに巻き込まれることなく快適に過ごすためにも一体どんな規定なのか知っておきましょう。
2022.07.30
日本の3大都市圏の中でも持ち家志向の高い名古屋圏。都心部では特に家と家の間が狭い場合があります。そこで大切なのが住宅の境界線を知って、外壁を「隣地境界線から50センチ」後退して住宅を建てるという規定です。せっかくの新築住宅を建てるからこそ、隣人とのトラブルに巻き込まれることなく快適に過ごすためにも一体どんな規定なのか知っておきましょう。
国土交通省が調査した『令和2年度「土地問題に関する国民の意識調査」の概要について』のうち、今後望ましい住宅形態について東京圏(45.0%)、大阪圏(43.4%)に対して、名古屋圏(63.8%)と戸建を持ちたいと考える方が他の大都市圏よりも高いことがわかりました。また、土地・建物のの所有または賃貸の志向についての問いに対して「土地・建物どちらも所有したい」と答えた割合も東京圏(67.9%)、大阪圏(67.5%)に対して名古屋圏(70.2%)と所有志向が高いことからも、「新築の戸建を持ちたい」と考える方が多いと言えます。賃貸とは異なり、その場所に家を構えたら、引っ越しするのがなかなか難しい戸建。だからこそ、規定を守った家づくりをして、建てた後も隣人と良い関係を保ちたいものですよね。
引用:
令和2年度「土地問題に関する国民の意識調査」の概要についてhttps://www.mlit.go.jp/totikensangyo/content/001408334.pdf
隣地境界線とは、土地と隣接する土地の境目を示す線のこと。
家を建てたり塀を設置する際にこの隣地境界線が使われます。住宅の場合は、土地の四隅に打ち込まれた境界標や杭などの目印を繋いだ線が隣地境界線となります。実際に目に見えて線が引いてある訳ではなく、地積測量図などの図面上に印されているだけだが、法的な有効性を持つとされています。
隣地境界線は、自分の土地と隣人の土地を明確に分けるためにも重要です。
日本の民法(民法第234条1項)では、以下のように住宅を建てる際の外壁について規定されています。
民法234条1項
建物を築造するには、隣地境界線から五十センチメートル以上の距離を保たなければならない。
これが建物を建てる際、土地の境界線から50センチ後退して建てる必要があると言われる理由です。これは、建物の外壁が土地の境界線から50センチ以内に入ってはいけないということなのですが、一体なぜこのような規定がつくられたのでしょうか。
例えば、隣同士の家の間が20センチしかないと考えて見るとわかりやすいと思います。お互いの住宅の壁が近いことで、日当たりがうまく確保できない、生活音が聞こえてくるなどといった支障が出てくることが考えられます。場合によっては高額な賠償請求をされることも。そこで、外壁が近づきすぎることによる隣人トラブルを避けるためにも、隣地境界線から50センチ後退した場所に家を建てることでお互い1メートルは離れるように規定されているのです。
ここまでご紹介した通り、民法では隣地境界線から50センチ後退して家を建てる必要がありますが、一方で民法236条では以下のように記載されています。
民法236条(境界線付近の建築に関する慣習)
前二条と異なる慣習があるときは、その慣習に従う。
ちなみに「前二条」とは先ほどご紹介した234条と235条のこと。235条は「境界線から1メートル未満の建物未満の距離において他人の宅地を見通すことのできる窓又は縁側(ベランダを含む。次項において同じ。)を設ける者は、目隠しを付けなければならない。」という目隠しについての条文です。
民法236条では、234条(隣地境界線50センチ後退)と235条と異なる慣習がその土地である場合は、その慣習に従うこと。としています。土地によっては50センチ以上離す、あるいは50センチ未満に近づいてもよいといった慣習がある場合は、民法よりも慣習が優先されるのです。ここからもわかるように近隣問題はそれだけデリケートということ。お互いのプライバシーを守りつつ快適に暮らすためにも民法だけでなく慣習も理解したうえで家づくりを進めることが大切です。
今回は、家づくりをする前に知っておきたい「隣地境界線50センチ」の規定についてご紹介しました。隣人トラブルへと発展しやすい土地の境界線。専門的なことがわからない場合でも、土地家屋調査士をはじめとした専門家に相談することで土地の詳細について知ることができます。隣人とのトラブルが発生しそう、塀をどこまで作っていいのかわからないなど悩みがあれば、すぐに相談してみましょう。建てる前に問題を解決することで、隣人と良好な関係を構築しながら快適に暮らすことができます。ぜひプロに相談してみてください。